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意外と知られていない「GCS」の落とし穴にご注意を!

(2020.4.16) 代表医師の中嶋です。

今回は,意識レベルの評価方法で有名な「GCS」について,誤った解釈を避けるために知っていただきたいこと,それは, 「GCSは,その数値が表している状態をイメージしてみる」 ことの大切さをお話しします。 早速ですが,次のような架空の事例について考えてみたいと思います。 事例:飲酒後,歩行中に乗用車と接触して転倒した。その際,頭部を負傷したため,救急車で搬送された。 病院到着時の意識レベルは,JCS 100GCS E1V5M6の状態であった。その後,開眼するようになったのは,2時間後であった。 頭部CTでは,少量の外傷性くも膜下出血を認めたが,その後の頭部MRIでも脳実質の明らかな損傷は認めず,3日後に自宅へ独歩退院となった。 後日,受傷後から記憶障害を認めるとのことで,脳外傷による高次脳機能障害として,後遺障害の申請をすることになった,,,」 この場合,そもそも,画像上,器質的な脳損傷を確認できないため,脳外傷による高次脳機能障害として認められるには,ハードルが高いわけですが,それでも,受傷直後に「重度の意識障害」を認めた,として,主治医の診断書に「脳外傷による高次脳機能障害」といった病名があれば,後遺障害が認定される可能性も否定できません(もちろん,他のさまざまな要素を加味して検討することになりますが)。 さて,この「重度の意識障害」という評価は正しいのでしょうか? じつは,ここに,GCSによる意識レベルの評価における落とし穴があります。 たしかに,JCS 100というと,いわゆる3桁の意識障害として,「重度」と捉えられます。 しかし,ここで気をつけていただきたいのは,GCS「E1V5M6」です。 GCSについて,おさらいをすると, 開眼機能 E1:痛み刺激でも開眼しない 言語機能 V5:見当識が保たれている(Vのなかでも最良) 運動機能 M6:命令に従って四肢を動かす(Mのなかでも最良) となります。 もし,重度意識障害でE1(痛み刺激でも開眼しない状態)ならば,V5やM6であるはずがありません。 想像してみてください。 つねったりたたいたりしても,全く開眼しない人が,「今日はいつですか?ここはどこですか?」といった質問にすらすらと答え,さらに,「右手を挙げてください,左手で右耳を触れてください,足を組んでください」といった指示にも,すみやかに応じるのです。 そんなはず,あるわけないですよね。 上の事例では,「飲酒後」というのがポイントです。 お酒に酔った人のなかには,なぜか,頑なに目を閉じたままで,開けようとしない人がいます。目を開いてくれないけど,会話や指示動作には応じるという状態です。 ここまで,読んでいただければ,JCSだけで評価することの危険性にもお気づきかと思います。 もし,JCS 100とだけしか記録されていなかったら,誤って「重度意識障害」と判断されていたかもしれません。もちろん,飲酒後という事情は考慮されますが。 以上をまとめると,次のことがいえますと思います。 GCSは数値だけで重症度を安易に判断してはいけない。その数値が表している状態をイメージして,矛盾がないか検討する。 これからも,弁護士の皆様の役に立つと思われる医学的知見を紹介していきます。 ご意見・ご質問は,本サイトのお問い合わせフォームよりお寄せ下さい。


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