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脳外科専門医のブログ『最新医学講座』
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脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定における「壁」を突破するには
近年,交通外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定に関する事案は,弊事務所においても相談件数が増えています。 高次脳機能障害は,運動麻痺とは異なり,「わかりにくい障害」であるため,被害者ご本人が苦しんでいるにもかかわらず,周囲の理解が得られにくい障害といえます。 事故後,高次脳機能障害によって復職することができず,生活面でも大きな苦難を強いられている被害者も少なくありません。被害者にとって,適正な補償を受けることはとても大切です。 適正な後遺障害の認定を受けられず,不当に苦しんでいる被害者を救いたいと願い,私は脳神経外科専門医として,脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定に関する紛争の鑑定も多く手がけてきました。 その経験をふまえ,今日は「脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定に関する紛争」について,どのような「壁」が存在し,その突破口についてご説明します。 ■ 「画像所見の壁」 「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」(平成30年5月31日付報告書)によれば,「脳の器質的損傷の判断に当たっては,CT,M

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2019年2月3日読了時間: 4分


医師の協力を得るために
今回は,医療関連事案を扱う弁護士の皆様が,医師の協力を得るための重要なポイントについて,ご説明します。 医療関連事案の最大の壁は「専門性の壁」です。 専門分野の医師から助言を得ることは,事案を解決に導く要といえます。 私がこれまで,弁護士の皆さまから依頼を受け,150件を超える医療関連事案に助言を行ってきました。 その経験をふまえ,弁護士の皆さまが医師と良好な関係を保つために,ぜひ知っていただきたいことをまとめました。 なぜ医師の助言が大切なのか(事案を解決に導くために) どうやってアプローチする?(直接?紹介?電話?メール?) 医師の勤務先によって異なる特徴を知る(大学病院,民間病院,医院・クリニック) 伝手がない場合は?(紹介してくれる組織を活用) 医師に問い合わせる前の準備(入手すべき資料とは) 大切なのはカルテの精読(カルテの精読なくして解決はない) 基礎的な医学的知見を得る(教科書,ガイドライン,論文) 質問事項を練る(内容と数に注意) 質問事項の例と留意点 医療水準に関する質問のコツ(表現の例を用意

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2018年10月9日読了時間: 3分


抗凝固療法中の患者が脳梗塞を発症した場合の急性期再開通治療について
日本脳卒中学会の機関誌「脳卒中」の最新号(第40巻第2号 2018年3月25日)において,「 抗凝固療法中患者への脳梗塞急性期再開通治療に関する推奨2017年11月 」(以下「推奨」といいます)が掲載されました。 この推奨は,日本脳卒中学会の脳卒中医療向上・社会保険委員会「抗凝固療法中患者への脳梗塞急性期再開通治療に関する推奨」作業部会が作成したものです。 実臨床では,抗凝固療法中,つまりワルファリンやその他の抗凝固薬を服用中にもかかわらず,脳梗塞を発症する例は決してまれではありません。脳梗塞急性期の再開通治療としては, rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法 が普及しています。また, 機械的血栓回収療法 もわが国で実施されるようになりました。抗凝固療法中の患者に対するrt-PA(アルテプラーゼ)静注療法や機械的血栓回収療法に関して,今回の推奨の要点を以下にまとめます。 ワルファリン服用患者について ・プロトロンビン時間の国際標準比(PT-INR)が1.7を超えている場合は,アルテプラーゼ静注療法の適応外とみなす。 ・ワルファリンの中和薬で

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2018年5月5日読了時間: 4分


急性期脳梗塞に対する血栓回収療法の適応条件について
2018年3月15日~18日,福岡で第43回日本脳卒中学会学術集会が催されました。 会場では,急性期脳梗塞に対する血栓回収療法の発表演題が多く見受けられ,脳梗塞の治療法は着々と進歩している印象を受けました。 血栓回収療法は,閉塞血管を再開通させることで,症状の劇的な改善が得られます。脳梗塞の範囲を最小限に食い止めることで,後遺障害の軽症化も期待できます。まさに,夢のような治療法ですが,血栓回収療法を行うには,「適応の条件」に注意が必要です。 そこで今回は,血栓回収療法の「適応の条件」について解説します。 2015年4月,日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会、日本脳神経血管内治療学会が合同で,「 経皮経管的脳血栓回収用機器 適正使用指針 第2版 」(以下「適正使用指針」といいます)を発表しました。 この適正使用指針は,現在,インターネットで自由に閲覧できます。 http://www.jsts.gr.jp/img/noukessen.pdf 脳卒中の治療担当医は,普段から適正使用指針をよく理解した上で,目の前の患者さんが,血栓回

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2018年3月25日読了時間: 3分


高血圧性脳出血の手術適応について
高血圧の重大な臓器障害として,脳出血が挙げられます。これは高血圧によって脳動脈が影響を受け,脳動脈から出血する疾患です。高血圧の治療が普及した現在においても,非常に怖い病気であることに変わりはありません。 さて,高血圧性脳出血の治療は,どのようなものがあるでしょうか。われわれ脳外科医としては,すぐに手術で出血を取り除けば,症状が改善します!といいたいところですが,実際は 慎重な判断 が求められます。 今回は「 脳卒中治療ガイドライン2015 (以下「ガイドライン」といいます)における高血圧性脳出血の手術適応について解説します。 まず,脳出血の部位に関係なく, 血腫量10mL未満の小出血または神経学的所見が軽度な症例は手術を行わないように勧められる ,となっています。これは,当然といえば当然です。さらに,意識レベルが 深昏睡(Japan Coma Scaleで300) の症例に対しても,血腫除去術は科学的根拠がないとされています。 次に,ガイドラインでの推奨のグレード別に列挙します。 ガイドラインの推奨のグレードとは,次のように定義さ

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2018年2月5日読了時間: 4分


原因不明の脳梗塞について
統計上,脳梗塞の20~25%は原因不明の脳梗塞(潜因性脳卒中)に分類されています。その多くは塞栓性脳梗塞と考えられ,塞栓源不明の脳塞栓症として, embolic stroke of undetermined source (ESUS) と呼ばれています。本日は,ESUSに関して,日本脳卒中学会誌に掲載された総説をご紹介します。 Embolic stroke of undetermined source (ESUS) 片野雄大,神澤孝夫,美原 盤,木村和美 脳卒中 39: 470-475, 2017 ESUSの診断基準 Lance Neurologyに掲載された報告によると,ESUSの診断基準は, 1.画像上非ラクナ梗塞であること 2.脳梗塞近位部の動脈において50%以上の狭窄がないこと 3.主要な心内塞栓源がないこと 4.その他の特殊な脳卒中の原因(血管炎,解離,片頭痛,薬物中毒など)がないこと と定義されています(Lancet Neurol 13: 429-438, 2014)。 ESUSの診断に必要な検査は, ・非ラクナ梗塞を

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2017年12月4日読了時間: 4分


MRI造影剤(ガドリニウム造影剤)の脳内残留について
中枢神経疾患の診断において,造影MRI検査は非常に有用です。MRI造影剤のほとんどがガドリニウムを使用しています。ガドリニウム造影剤は1988年から臨床応用が始まり,すでに30年近く経ちました。2016年,腎機能低下患者にガドリニウム造影剤を投与することで, 腎性全身性線維症 (nephrogenic systemic fibrosis : NSF) という合併症が引き起こされることが発覚しました。NSFは皮膚の硬化,四肢の関節に運動障害を認め,死に至ることもある合併症で,日本国内においても20数例の報告があります。 NSFの発症を回避するために,現在のガイドラインでは, ①透析患者,②eGFR 30未満,③急性腎不全患者 はガドリニウム造影剤を投与すべきではないとされています。 ガイドラインが遵守されるようになってから,NSFの新規発症例は報告されていません。その一方で,ガドリニウム造影剤の人体への影響として,2017年11月号の脳神経外科ジャーナルに,ガドリニウム造影剤が脳内に残留,蓄積することを報告した論文が発表されました。とても興味深

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2017年10月30日読了時間: 3分


未破裂の脳動静脈奇形 (AVM) は治療しないほうが安全という論文の紹介
脳動静脈奇形(以下AVMといいます)は脳神経外科が扱う疾患のなかでも,外科的治療の難易度が高い疾患です。そのため,カテーテルを用いた塞栓術や定位放射線治療を組み合わせた治療を行うこともあります。しかし,2014年,世界最高峰の医学雑誌である Lancet から驚くべき論文が発表されました。 Medical management with or without interventional therapy for unruptured brain arteriovenous malformations (ARUBA): a multicentre, non-blinded, randomised trial. Mohr JP, Parides MK, Stapf C, et al Lancet 2014; 383: 614-621 です。この論文は以下のURLから Freeでダウンロード もできます。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4119885/pdf/nihms585104.p

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2017年10月4日読了時間: 3分


脳神経外科の主要な教科書・医学雑誌
弁護士の皆様と面談をするときは,事前に様々な角度から事案の内容を検討します。特に,患者さんに行われた医療行為が,その当時の医療水準を満たしているのか否かを慎重に判断します。医療水準の判断は,その医療行為が広く普及しているかどうかが肝要です。そこで,今回のブログでは, 脳神経外科医の間で広く普及している教科書,医学雑誌 をご紹介します。 教科書 ・ 脳神経外科学 改訂12版 太田富雄総編集・金芳堂 2960頁・3分冊・ケース入・定価(本体34,000円+税) (解説)脳神経外科医のバイブルです。基本的な知識を網羅しています。疑問点があれば,まずはこの本を開きます。この本に掲載されていない内容は,自分が知らなくても仕方ないと感じてしまうほどの,圧倒的な量と質です。 医学雑誌(和文) ・ 脳神経外科 (医学書院) 月刊誌。和文の雑誌ですが,Index Medicusにも収載され,内容も充実していることから,脳神経外科医の間では高く評価されています。 ・ 脳神経外科ジャーナル (日本脳神経外科コングレス) 月刊誌。内容は主に脳

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2017年9月19日読了時間: 3分


TIAは入院?それとも帰宅?
救急外来を受診した患者さんでTIAが疑われたにもかかわらず,その日は帰宅となり,後日,脳梗塞を発症して後遺障害が残った場合,救急外来での担当医の対応が適切であったのかどうかが問題となります。 TIA(一過性脳虚血発作)は,従来,「24時間以内に消失する局所的な脳,または網膜の虚血症状のこと」と定義されてきました。しかし,2009年,米国心臓協会 (AHA) と米国脳卒中協会 (ASA) はTIAの定義を変更し, 「急性期脳梗塞を伴わない,局所的な脳,脊髄,または網膜の虚血によって生じる神経機能障害の一過性エピソードである」 としました。 「急性期脳梗塞を伴わない」という文言が加わったのには理由があります。 かつての定義「24時間以内に消失する局所的な脳の虚血症状」では,約半数がMRIの拡散強調画像で脳梗塞の所見が認められることがわかったからです。あと,新しい定義では,「24時間以内」という文言が消えていますが,これも「24時間」の根拠が乏しいためとされています。 さて,患者さんの症状からTIAが疑われる場合,医師は患者さんを入院させた

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2017年8月15日読了時間: 3分


くも膜下出血を疑うべき状況とは?
私たち脳神経外科医にとって,頭痛は非常に関心の高い症状です。頭痛で悩んでいる患者さんは多く,なかには命の危険がある病気の場合もあります。その代表が「くも膜下出血」による頭痛です。くも膜下出血の多くは脳動脈瘤破裂によるものです。初回の破裂によるくも膜下出血を迅速に診断して,動脈瘤に対して速やかに処置を行い,再破裂を防ぐことが重要です。 頭痛患者さんにおいて,医師がくも膜下出血を見落とすことは,医療過誤をめぐる紛争に直結する可能性が高いといえます。 我が国の救急医療は,救急専門医の数が十分ではないため,特に夜間や休日は救急医学や脳神経領域を専門としない多くの医師(例えば消化器専門医,整形外科専門医など)によって支えられているのが現状です。当然,頭痛診療に慣れていない医師がくも膜下出血を見落とす可能性も生じてきます。 そこで今回は,救急医学や脳神経領域を専門としない医師であっても,どのような患者さんの場合にくも膜下出血を疑うべきかを解説します。 ■ キーワードは「人生最悪の頭痛」 くも膜下出血で最も多い症状は頭痛です。...

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2017年7月27日読了時間: 3分


脳卒中急性期の栄養管理について
私が所属している日本脳卒中学会の機関誌最新号に,「脳卒中急性期重症患者に対する早期経腸免疫栄養の効果」についての論文が掲載されていました。ホエイペプチド含有の免疫調整栄養剤を脳卒中急性期から投与すると,他の栄養管理を実施した場合と比較して,感染性合併症の頻度が有意に減少するとのことです。 脳卒中急性期では,感染性合併症と低栄養を回避することが非常に重要です。 そこで今回は、脳卒中急性期の栄養管理について,脳卒中治療ガイドライン2015で推奨されている項目を順に解説します。 ■「脳卒中発作で入院したすべての患者で,栄養状態を評価するよう勧められる(グレードB)」 (解説)脳卒中発症急性期の低栄養状態は,独立した転帰不良因子であることが報告されています(Yoo SHら, Arch Neurol. 2008)。したがって,嚥下障害の有無にかかわらず脳卒中発作で入院したすべての患者で栄養状態を評価することが望ましいといえます。 ■「低栄養状態にある患者,低栄養状態に陥るリスクのある患者,あるいは褥瘡のリスクがある脳卒中患者では,十分なカロ

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2017年6月8日読了時間: 3分


高次脳機能障害の基本
弊事務所ではこれまで,脳外傷後の高次脳機能障害に関するご相談を多数お受けしてきました。 そこで今回は、高次脳機能障害について,基本的な内容をまとめてみました。 カルテや画像といった資料のなかで,どのような点が重要なのかを中心にご説明いたします。 ■高次脳機能とは,「記憶,思考,言語,さらに感情や意欲まで大脳の働きが生み出しているものをまとめて高次脳機能という」 ■臨床像として,多彩な認知障害,行動障害,人格変化を認める ■認知障害: 記憶・記銘力障害 注意・注意力障害 遂行機能障害 ■行動障害: 周囲の状況に合わせた適切な行動ができない 複数のことを同時に処理できない 行動を抑制できない 危険を予測・察知して回避的行動をすることができない ■人格変化: 自発性低下 衝動性 易怒性 幼稚性 自己中心性 病的嫉妬・ねたみ 強いこだわり ■これらの典型的な症状は,主として脳外傷によるびまん性脳損傷を原因とする。 局在性脳損傷(脳挫傷,頭蓋内血腫など)との関わりも否定できない ■急性期には重篤な症状が発現

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2017年4月3日読了時間: 5分


めまい診断の難しさ
実臨床において、中枢性めまいと末梢性めまいの鑑別は容易ではありません。 末梢性めまいと診断され、のちに小脳梗塞あるいは脳幹梗塞であることが判明してトラブルになった、というケースもあります。 そこで今回は、めまい診断に関する興味深い最近の論文をご紹介します 中島 正之、初田 直樹、松尾 宏俊ら:初診時に末梢性めまいと診断された小脳梗塞に関する検討.脳卒中:早期公開2016年9月15日(J-STAGEでだれでも閲覧できます) それでは、内容の要点を挙げていきます。 ■小脳梗塞は急性期脳卒中の約1.5%を占め、発症時にめまいのみを主訴とすることも稀ではない ■著者らの施設に緊急入院した小脳梗塞連続50例のうち、11例は初診時に末梢性めまいと診断されていた ■この11例は全例で初診時に頭部CT検査を実施されていたが、CT結果を後方視的に検討しても小脳梗塞の診断は1名を除いて困難であった ■この11例のうち、1名だけはMRI検査を受けていたが、MRIの拡散強調画像でも虚血巣は指摘できなかった ■この11例のうち、7例では小脳梗塞と確定

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2017年2月27日読了時間: 3分


静脈経腸栄養ガイドライン第3版の要点
脳卒中では意識障害によって、口から食事を摂ることができなくなる場合があります。その場合、患者さんの栄養状態を維持するために、栄養の投与方法を考えなくてはなりません。そこで今回は、脳神経外科領域だけではなく、臨床医学のあらゆる領域で関係の深い静脈経腸栄養、特に中心静脈カテーテル(以下、「CVC」という)の管理について解説します。 CVCの臨床における最大の問題は、カテーテル関連血流感染症(catheter-related bloodstream infection: CRBSI)です。このCRBSI(←略語なのに長い!)を防ぐためには、カテーテルの管理について、習熟している必要があります。 しかし、CVCの管理方法は、各医師、各医療機関の慣習に基づいて行われていることが多く、事故発生時には、医療水準の判断が難しい分野といえます。そこで、もう一度、エビデンスに基づいたCVCの管理方法を復習するために、静脈経腸栄養ガイドライン第3版の内容をご紹介します。 なお、このガイドラインは2013年に発行されました。 それでは、内容を順番に見てい

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2017年1月19日読了時間: 5分


重症頭部外傷ガイドライン第3版の要点
今回は、我が国の重症頭部外傷ガイドラインをご紹介します。 重症頭部外傷ガイドラインは脳神経外科医が中心メンバーである日本脳神経外傷学会ガイドライン作成委員会により発行されています。 正式名称は、「 重症頭部外傷治療・管理のガイドライン 」といいます。 初版は2000年に発行され、2006年に第2版、2013年に第3版が発行されました。 改訂では、旧版を踏襲しながら新たな知見を取り入れています。 そこで、2013年に発行された最新の第3版においてアップデートされた内容を挙げて解説したいと思います。 (参考文献 前田ら:重症頭部外傷ガイドライン2013アップデート.脳神経外科ジャーナル 22: 831-836, 2013) 1.推奨レベルを6段階から3段階へ簡素化した 第2版までは、推奨レベルを6段階としていましたが、第3版からは、 「行うように勧められる」 「行うことを考慮してもよい」 「行うことは勧められない」 の3段階となり、現場の医療者は判断しやすくなりました。 2.中等症・重症を対象とした画像診断についての章が追

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2016年12月8日読了時間: 4分


虚血性脳卒中の見逃しに関する研究
今回は、脳卒中関連の医学誌ではメジャーな『Stroke』に掲載された興味深い今年の論文をご紹介します。 タイトルは「救急部門における救急医および神経内科医による虚血性脳卒中の見逃し」、著者は米国ペンシルベニア州のアビントンという町にあるAbington Hospital神経内科所属の医師です。 虚血性脳卒中は麻痺や言語障害といった神経後遺症が問題となります。そのため、救急部門における虚血性脳卒中の見逃しは、t-PAによる経静脈的血栓溶解療法やカテーテルによる血管内治療といった時間との勝負となる治療の機会を逸することになり、医事紛争に発展する可能性が高いといえます。 なお、日本では、虚血性脳卒中の初期診療を救急医や脳神経外科医が担っていることが多いのですが、米国では脳神経外科医ではなく、神経内科医が担当しているという違いがあります。 それでは論文の要点をまとめていきます。 原著のタイトル: Arch AE, Weisman DC, Coca S, et al. Missed Ischemic Stroke Diagnosis in th

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2016年11月2日読了時間: 4分


脳動脈瘤に対する血管内治療のトピックス
脳動脈瘤に対する治療法は、2つの方法に大別できます。一つは開頭治療、もう一つは血管内治療です。近年、血管内治療はデバイスの進化とともに適応を拡大しつつあります。そこで、今回は、血管内治療で豊富な治療経験を有する虎の門病院の松丸祐司先生によって今年発表された総説論文をご紹介します。(なお、この論文は、インターネット上でJ-STAGEより検索できます。) 松丸祐司、天野達雄、佐藤允之:脳動脈瘤に対する血管内治療の戦略と手技.脳外誌 25: 27-32, 2016 1.血管内治療のアドバンテージと問題点 ・開頭クリッピングと比較して、血管内治療は 手技が単純で均一 であるため、術者のlearning curveが短い。 ・血管内治療の基本は診断血管造影(いわゆる脳アンギオ)であり、それを習得してデバイスの使用法を理解すれば、脳動脈瘤塞栓術も実施可能となる。 ・血管内治療では企業が多くの人と費用を投入してデバイスを開発している。その結果、多くの新規デバイスが開発され、治療成績が向上し、治療適応が拡大しつつある。 ・問題点としては、①ひとたび合併症

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2016年10月3日読了時間: 5分


未破裂脳動脈瘤への対応~治療する? 治療しない?~
未破裂脳動脈瘤を発見した脳神経外科医は、目の前の患者さんに対してどのような判断を下し、どのような行動をとるべきか。これは脳神経外科医にとって重要な課題であり、弁護士の皆さまにとっても医師がどのように説明すべきかを知っておくことは有用だと思います。 そこで今回は、未破裂脳動脈瘤治療に対する脳神経外科医の考え方について、今年のはじめに発表された論文を紹介します。(なお、この論文は、インターネット上でJ-STAGEより検索できます。) 髙橋 淳、片岡大治、佐藤 徹ら:未破裂脳動脈瘤治療における「判断と行動」. 脳外誌 25:4-14, 2016 1.わが国の脳動脈瘤の現況 ・2013年の国内くも膜下出血(以下、「SAH」という)死亡総数は約1万2千人 ・これは18年前と比較して13.5%減少 ・国内SAH新規患者数は年間3万人程度と推定されるが公的統計はない ・2010年の 破裂 脳動脈瘤に対する治療件数は1万8047件( 9年間で5.9%減少 ) ・治療の内訳はクリッピング1万3607、コイル塞栓術4,440 ・一方、2010年の 未破裂

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2016年9月1日読了時間: 5分


MRAで「未破裂脳動脈瘤はない」と言い切れるのか?
1.未破裂脳動脈瘤のスクリーニング検査 未破裂脳動脈瘤のスクリーニング検査を受け、医師から「脳動脈瘤なし」と診断を受けたにもかかわらず、その後、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症し、死亡あるいは重篤な後遺障害により寝たきりとなってしまった。そのような患者さんの例を脳神経外科医であれば一度は耳にしたことがあります。また、患者さんのご家族から相談を受ける弁護士さんもいらっしゃるかと思います。 そこで、今回は、未破裂脳動脈瘤のスクリーニング検査であるMRAを中心に解説します。 脳動脈瘤の診断の基本はカテーテル法による脳血管撮影 (digital subtraction angiography) です。この脳血管撮影は、脳血管の形態を最も詳しく評価することができます。その一方で、この検査は動脈穿刺や血管内のカテーテル操作を要し、検査を受ける患者さんにとっては血管損傷による出血や脳梗塞といった様々なリスクを伴います。また、脳血管撮影の安全性を考慮し、通常は検査のための入院が必要となります。そのため、一般的には未破裂脳動脈瘤のスクリーニング検査として

医療鑑定研究会 中嶋浩二
2016年8月2日読了時間: 5分
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