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臨床医の頭部CT読影手順とは

(2021.2.15)

代表医師の中嶋です。


今回は,脳神経外科医が日常的に行っている「頭部CTの読影」について紹介します。


頭部CTの読影では,当たり前ですが,異常所見を見落とさないようにします。

特に,致命的,あるいは,永続的な神経後遺症の原因となるものは,細心の注意を払います。


見落としを避けるために,以下の点を確認していきます。もちろん,確認の順序は各医師によって異なります。


なお,頭部CTで最も一般的な画像は水平断像です。水平断像とは,頭部をほぼ水平に輪切りにした断面像です。以下,水平断像の読影を想定して解説します。


1.頭蓋骨とその外側

断面像の最も外側を囲んでいる真っ白な輪は頭蓋骨です。頭蓋骨では,異常に肥厚した部分や菲薄化した部分がないかを確認します。骨を見やすくした骨条件という画像があれば,頭蓋骨の異常を見分けるのが容易となります。

頭蓋骨の厚さの異常があれば,頭蓋骨の腫瘍や髄膜腫の存在を疑います。頭蓋骨に手術の痕跡(開頭や穿頭の痕)を認めることもあります。

さらに,頭蓋骨の外側の組織に異常な膨らみがないかを確認します。もし,異常な膨らみがあれば,皮下血腫(いわゆる「たんこぶ」)の可能性があるので,頭部外傷後の急性期かもしれないと考えます。

あとは,額や頬の内側にある骨で囲まれた空洞(副鼻腔といいます)が真っ黒に描出されているか確認します。真っ黒であれば,空気で充たされているので正常です。一方,空洞が灰色で何かが貯留しているようにみえたら,まずは副鼻腔炎を疑います。頭痛や顔面痛の原因となるので注意が必要です。


2.頭蓋骨と脳の間

次に,頭蓋骨と脳の間に注目します。若年者であれば頭蓋骨と脳は密着して,隙間はありません。高齢者になると,脳が萎縮して,頭蓋骨と脳の間に黒い隙間を認めることもあります。この隙間が真っ白だと,急性硬膜外血腫と急性硬膜外血腫のいずれかを疑います。どちらも,外傷性頭蓋内出血として重要です。血腫量や神経症状から,時期を逸することなく外科的治療を行う必要があります。また,高齢者の場合,頭蓋骨と脳の間に灰色の隙間を認めることがあります。この場合,慢性硬膜下血腫を疑います。


3.脳の内部と脳溝

脳の内部に異常な黒い部分や白い部分がないか,大脳だけではなく,小脳,脳幹も順に確認します。明らかに左右差があって,大脳や小脳の真ん中が左右のどちらかにずれていることがあります。その場合,脳梗塞,脳出血,脳腫瘍などの可能性があります。

大脳の場合,側脳室の形状に左右差があれば,脳の病変によって,脳にゆがみを生じている可能性があります。また,脳室が左右対称でも,異常に拡大している場合は,水頭症を疑います。ただし,脳萎縮が進行している場合も脳室が拡大してみえるので注意が必要です。

最後に脳溝(脳の表面の溝)や脳の間(前頭葉と側頭葉の間:シルビウス裂)を見ていきます。脳溝や脳の間が真っ白だと,くも膜下出血を疑います。脳動脈瘤破裂の場合,致命的となり得る重篤な疾患です。きわめて緊急性が高いといえます。脳溝や脳の間が拡大していると,脳萎縮が進行していると考えます。


このように,頭部CTは,丁寧に読影することで,的確な診断と治療につながる重要な検査といえます。


本稿が,皆さまの頭部CTに対する理解の一助となれば幸いです。


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