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神経内視鏡手術を知る



医学鑑定 医療事故


(2022.6.11)


代表医師の中嶋です。


「脳神経外科の内視鏡治療」についてご存知でしょうか。


内視鏡というと、胃カメラ・大腸カメラといった消化器内科による治療が有名ですが、実は脳神経外科でも内視鏡治療は広く行われるようになってきました。


今回から3回にわたり、神経内視鏡治療について解説していきます。


神経内視鏡手術とは


鼻や頭に小さな穴をあけ、そこから細いカメラを挿入し、カメラの画面を見ながら手術を行う手術方法です。


今まで大きく頭を開けなければならなかった患者さんに対して、低侵襲な手術が可能になりました。


神経内視鏡を使う手術は、主に脳腫瘍・脳出血・水頭症・脊髄疾患が対象になります。


より多くの患者さんにメリットを享受していただけるように、今現在も世界中で研究がすすめられ、治療対象の拡大を図っています。



神経内視鏡手術のメリット・デメリット


神経内視鏡手術は、患者さんの負担を軽減するという面では非常に大きなメリットがあります。


大きな傷をつけて開頭しなければ治療できなかった脳腫瘍の患者さんに対して、鼻から内視鏡を入れて全摘出、外見上の傷は全くなく手術が終えられることも多くなってきました。

全身麻酔をかけなければ手術ができなかった脳出血の患者さんの中には、神経内視鏡を用いて局所麻酔で手術が完結できる患者さんも出てきています。


このような手術侵襲の軽減こそが最も大きなメリットといえるでしょう。


また神経内視鏡を使うことで視認性が上がり、出血部位の確認がよくできるようになったり、合併症を減らすことができたりする場合もあります。



一方で、神経内視鏡手術におけるデメリットもあります。


神経内視鏡のメリットの一つに、狭い穴から手術ができることが挙げられますが、これは同時に「狭い穴からでもしっかりと手術の操作ができる技量がある」ことが前提の手術となります。

開頭手術の力量に加え、内視鏡治療特有の技量も求められることになり、術者の経験・技術力をさらに高いレベルで求められることになります。


また出血を起こしてしまった場合には、「神経内視鏡下で着実に止血する技術」だけでなく、「内視鏡手術で出血がコントロールできなかった場合にはすぐに開頭手術に移行する判断力」も重要になります。


このように神経内視鏡手術は高い技術力・臨床能力が求められる治療であるため、日本神経内視鏡学会では認定医制度を設け、ハンズオンという実技講習や手術経験を十分に積んだ脳神経外科専門医にのみ、神経内視鏡学会認定医として認めています。


執筆時点では、認定医以外の医師が様々な疾患の治療にあたって内視鏡を用いることを否定するものではないとされていますが、少なくとも神経内視鏡学会認定医と同程度の経験・知識を有した医師が行うべき手術であることは間違いないでしょう。



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神経内視鏡手術についてのまとめ


今回は脳神経外科手術領域の中でも近年ますます需要が高まっている神経内視鏡治療についてまとめてみました。


利点:手術侵襲が少なくなる。

手術の視認性が上がり、手術によっては安全性が高くなる。


欠点:狭い術野での止血操作など、開頭手術と同等以上に高い技術力が求められる。

開頭手術に移行する判断力など高い臨床力・総合的な判断力が必要。

   

これらの特徴を踏まえ、1症例ごとに手術の方法を考えていく必要があります。


次回からは近年多くの施設で行われるようになってきている、脳出血に対する神経内視鏡治療および下垂体近傍脳腫瘍に対する神経内視鏡治療に関して、さらに詳しく解説していきます。


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